2017年8月31日に日本がホームでオーストラリアを2対0で勝利し、2018年のロシアワールドカップの出場権を獲得しました。
1998年のフランス大会における初出場から、6大会連続でのワールドカップの出場権の獲得となります。
今回は6大会連続ワールドカップ出場できることの価値を見ていきます。
ワールドカップ6大会連続の期間とは
日本が出場した過去5回のワールドカップは以下の大会となります。
・1998年 フランス
・2002年 日本/韓国
・2006年 ドイツ
・2010年 南アフリカ
・2014年 ブラジル
ジョホールバルの歓喜で出場を決めた1998年のフランス大会から来年2018年のロシア大会の期間はちょうど20年です。
20年間に渡りサッカー日本代表の実力を維持し続ける必要がありますので、その時代に突如現れた才能だけでは成し遂げられないものがワールドカップの連続出場です。その意味でワールドカップの連続出場は各国の育成の成果と言えるものです。日本サッカー協会だけでなく、各都道府県のサッカー協会、そしてJリーグの各チームにおける育成が実を結んだ結果と言えます。
1998年の中田英寿から始まり、中村俊輔、本田圭佑、香川真司らの多くの才能ある選手が日本代表として輝きを見せてくれましたが、今回の最終予選でも新たな才能が現れる予感を感じさせてくれています。
予選突破を決めたオーストラリア戦でゴールを決めた浅野選手や井手口選手はまさに新たな才能の予感を感じさせる2人です。
ワールドカップ連続出場が勝者のメンタリティをもたらす
オーストラリアとの決戦で出場権を決定づける渾身のゴールを決めた井手口選手は1996年生まれの21歳ですので、日本が出場しないワールドカップを知らない世代です。
それは6大会連続出場によって、日本がワールドカップに出場することが当たり前の世代が日本代表として活躍するまでになったことを意味します。
日本代表がワールドカップに出場するのが当たり前だという意識は勝者のメンタリティに繋がるものですので非常に重要です。そして勝者のメンタリティは結果の中からしか生まれません。また勝者のメンタリティを持たない限りはワールドカップで優勝することはできません。
その意味で6大会連続出場の価値は計り知れないものです。
ワールドカップ6大会連続出場の可能性がある国とは?
ワールドカップ6大会連続出場を決めた日本ですが、6大会連続出場は簡単なものではないです。
例えば、強豪国であるオランダは2002年の日韓大会では出場権を逃しています。また、同じく強豪国のポルトガルは1998年フランス大会の出場権を逃しています。
強豪国といえども、20年の期間において強さを維持することが難しいことが分かります。
その中で1998年フランス大会から2014年ブラジル大会までの5大会を連続出場しており、2018年のロシア大会で6大会連続出場を狙えるのは11の国だけです。その11の国は以下の表1となります。表1には優勝回数も記載しています。
当然のようにワールドカップの優勝国が並んでいることが分かります。逆に言えば、6大会連続出場するくらいの国でなければワールドカップで優勝することは出来ないことを意味しています。
ワールドカップの出場国は32カ国です。その中で6大会連続出場の可能性があるのは11カ国、そしてその中の1つが日本であることは期待を持たせてくれるデータです。
ワールドカップの優勝国は8カ国のみですので、ここに含まれていないのはウルグアイだけです。第1回の1930年、第4回の1950年に優勝したウルグアイですが、最近では優勝候補にあがることはありません。ワールドカップへの連続出場が果たせていないことはそのことを物語っています。
6大会連続ワールドカップ出場の価値
ワールドカップへの連続出場はワールドカップを優勝するための要素であると言えます。それは4年に1度のワールドカップの出場を逃すと、8年のブランクが生じますので、ワールドカップという希有な経験が世代間で断絶してしまうからだと考えます。
ワールドカップという経験を蓄積していくことこそがワールドカップに連続出場することの価値です。そしてその経験を積み重ねた国が最高の高みに手が届く資格を有すると考えます。
サッカー日本代表はアジア予選を戦っているので、他の地域の予選を戦っている国よりワールドカップに出場できる可能性は高いことは事実です。それでもワールドカップに連続出場することの意味は大きく、そして今回もそれを繋げることが出来たことは将来において日本がワールドカップで優勝するための布石となるはずです。
サッカー日本代表が強くなるためには、一度ワールドカップの出場権を逃した方が良いという意見もあるかもしれませんが、その意見は本当に目標を達成したいと切望するのであれば、甘いと考えます。
もし一度でもサッカー日本代表がワールドカップの出場権を逃したら、日本サッカー協会の約束“JFAの約束2050”の「FIFAワールドカップを日本で開催し、日本代表チームはその大会で優勝する」という目標は絶対に達成できないと断言します。
ワールドカップという経験を蓄積しないでワールドカップに優勝することは日本でなくても無理だと考えるからです。
もちろん例外はあります。
第6回大会以降の大会において6大会連続出場の国以外で優勝した国が1カ国だけあります。それは1998年のフランスです。この時のフランスは2大会連続で出場権を逃した後の自国開催での優勝でした。
当時のフランス代表は、ワールドカップという経験の蓄積が断絶していました。それでも優勝できたのは、自国開催というホームアドバンテージ、サッカー史に名を残すジダンという天才の出現、そしてデシャン、アンリらのグットプレイヤーの存在、そして勝負の運、その全てがあの瞬間に集まったからだと思います。今振り返れば、それは奇跡と呼べるものです。
日本が1998年のフランスと同じピースを2050年に全て集めることは難しいでしょう。足りないピースを別の何かで補う必要があり、それこそがワールドカップの連続出場による経験の蓄積だと確信します。
そして経験の蓄積を活かせる才能を持った国こそが日本であることはビジネスの世界が証明しています。
今回のワールドカップの出場権の獲得で、2050年にワールドカップで優勝するための経験の蓄積という糸が切れなかったことが何よりの成果であったと考えます。
まとめ
・ワールドカップ6大会連続出場が可能なのは11カ国。日本はその中の1つ。
・6大会連続ワールドカップ出場の価値はワールドカップという経験の蓄積。それこそが2050年にワールドカップを優勝するための布石となる。
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