サッカースタジアム

広島のサッカー新スタジアム問題の突破口とは?アーセナルから学ぶこと

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今回はサンフレッチェ広島の新スタジアム構想の問題点を見ていきます。

 

新スタジアム構想は長期化している

2003年頃から始まった広島におけるサッカースタジアムの建設構想は14年が経過した今でも実現の見通しが立っていません。

実現の見通しが立たない1番の理由はいまだにスタジアムを建設する場所を決められないことにあります。

サンフレッチェ広島が市の中心地からアクセスが良い「旧広島市民球場跡地」での建設を希望するのに対して、広島県・広島市・広島商工会議所の三者は建設コストの低さを理由に市の中心地からアクセスが悪い「広島みなと公園」を候補地としたことで、サンフレッチェ広島と広島県・広島市・広島商工会議所の意見が対立したことが問題を長期化させた要因です。

スタジアムを建設する場所は現在も決まっていません。現在は、2つの候補地の他に旧広島市民球場跡地に近い「中央公園広場」を第3の候補地としてさらなる検討を行っている状況です。

 

広島の新スタジアム構想で本当に解決すべき問題とは?

混迷を続けている広島の新スタジアム構想ですが、本当に解決しなければならない問題はスタジアムを建設する場所ではないです。もちろんスタジアムを建設する場所は非常に重要ですが、それは解決すべき問題の1つの要素に過ぎません。

本当に解決しなければならない問題は“スタジアムをどこに建設するか”ではなく、“建設したスタジアムでどのように利益を創出するか”です。

広島の新スタジアムの建設費用は140億円~180億円と言われています。この費用を広島県や広島市の税金を投入することなく、サンフレッチェ広島がクラブ運営を継続しながら返済する道筋が見えているなら、つまり利益を創出し続けるプランが明確であるなら、スタジアムの建設場所は「旧広島市民球場跡地」、「広島みなと公園」、「中央公園広場」のどの場所でも問題ないです。

一方で、利益を創出するプランが明確でないのであれば、スタジアム建設はどの場所であろうと中止すべきです。

但し、利益を生み出すためには集客することが大前提ですので、市の中心地からアクセスが良い「旧広島市民球場跡地」、「中央公園広場」に建設した方が利益を創出するためのハードルは低くなります。

サンフレッチェ広島は「広島みなと公園」のスタジアムを本拠地として使う予定がないことを明言していますが、経営の視点から考えれば当然の結論です。

「広島みなと公園」を推した人たちは、クラブ運営を継続しながら利益を創出し続けなくてはならないことを真剣に考えているとは思えません。

責任を負わない当事者意識の低い第三者の立場にいるからこそ言える意見です。

 

利益を創出するために海外のビッククラブが行っていること

海外のサッカーのビッククラブではスタジアムにおける利益の創出を当然のこととして考えています。

ここでは、海外のビッククラブがスタジアムにおいてどのように利益を創出しているかを見ていきます。

尚、新スタジアムで開催する試合において、スタジアムを満員にすることはサッカークラブとして当然に達成すべきことですので、それ以外での利益の創出方法を見ていきます。

今回はイングランドのプレミアリーグに所属するアーセナルのホームスタジアムであるエミレーツスタジアムを例に見ていきます。エミレーツスタジアムは2006年に開業したスタジアムです。

①ネーミングライツ

スタジアムの本来の名前はアーセナルスタジアムですが、ネーミングライツによりスタジアム開業当初からエミレーツスタジアムと呼ばれています。

ネーミングライツとユニフォームのスポンサー契約でエミレーツ航空と15年で推定200億円(当時のレート)のスポンサー契約を結んでいます。

②スタジアムツアー

年間を通してスタジアムツアーを行っています。スタジアムツアーの大人1人の料金は22ポンド(約3300円)です。

③The Arsenal Museum

アーセナルの歴史を振り返ることができるミュージアムがスタジアムにあります。大人1人の入館料は10ポンド(約1500円)です。

④ARSENAL MATCHDAY HOSPITALITY

スタジアムで試合を開催する時に行っている特別なおもてなしのプランです。

歴代のレジェンド選手が迎えてくれるプラン(プラン名:Club Level VIP)や現役の選手と試合前に一緒にスタジアムを周るプラン(プラン名:Matchball)等の様々なプランを用意しています。

歴代のレジェンド選手が迎えてくれるプラン(Club Level VIP)は、4人~8人で1680ポンド(約25万3000円)です

また、現役の選手と試合前に一緒にスタジアムを周るプラン(Matchball)は4人で3000ポンド(約45万3000円)です。

⑤Arsenal Meetings & Events Venue

スタジアム内のスペースを様々な会議やイベントの会場として貸し出しています。

最大12人が利用できる17㎡の会議室から、最大1320人が利用できる1372㎡のイベント会場まで、用途と人数に応じた大小様々なスペースを貸し出しています。

各スペースは高級感が溢れ、所々にアーセナルを感じられるスペースとなっています。

 

アーセナルの例を見てきましたが、特に⑤Arsenal Meetings & Events Venueは試合の開催日だけでなく、年間を通して利益を創出できる仕組みです。スタジアムを日常的な社交の場にするという発想です。

アーセナルの場合は、高級感やアーセナルらしさを盛り込むことで特別な空間を演出し、ビジネスやプライベードにおける重要な場面で利用してもらうように様々な工夫がなされています。

 

新スタジアムでどのように利益を創出するかを考える

アーセナルのエミレーツスタジアムの例を見てきましたが、広島の新スタジアムにおいても、新スタジアムによってどのように利益を創出するかを最初に考えるべきです。

例えば、アーセナルの例であげた⑤Arsenal Meetings & Events Venueにより利益を創出することを考えた場合には、立地条件が重要な要素になりますし、様々な会議やイベントを開催できるスペースをスタジアムの設計段階で盛り込む必要があります。

重要なのは、利益を創出するためにスタジアムの場所や施設が決まるのであって、スタジアムの場所が最初に決まってその後に利益を創出することを考えるのではないということです。

Jリーグのホームでの開催試合はJリーグとルヴァンカップをあわせて年間20試合程度ですので、スタジアムを満員にしたとしても通常の入場料収入だけではクラブ運営を継続しながら、新スタジアムの費用を返済するだけの利益を創出し続けることは不可能に近いです。

だからこそ、新スタジアムによってどのように利益を創出するかを、スタジアムを建設する前に明確なプランとして入念に準備することが非常に重要になります。

広島の新スタジアム構想には、サンフレッチェ広島のクラブ、サポーター、広島県・広島市・広島商工会議所、広島県民・市民と様々な関係者がいますが、スタジアムの場所をどこにするかではなく、新スタジアムで利益を創出するためにはどうすればよいかという議論が活発に行われると新スタジアムの実現は近づくと考えます。

また、そのような議論が行われて生まれたスタジアムこそが、広島という素晴らしい街の未来に遺すべきスタジアムになると考えます。

 

まとめ
・サンフレッチェ広島の新スタジアム構想で本当に解決しなければならない問題は“スタジアムをどこに建設するか”ではなく、“建設したスタジアムでどのように利益を創出するか”
・新スタジアムの実現のために、新スタジアムで利益を創出するためにはどうすればよいかという議論を活発に行う必要がある

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