J1リーグの中で、2017シーズンに新規のファンを多く獲得したチームはどのチームだと思いますか?
今回はJリーグが公開している「Jリーグ スタジアム観戦者調査2017 サマリーレポート」をもとに、2017シーズンのリーグ戦におけるスタジアムの新規観戦者の多いチームを見ていきます。スタジアムの新規観戦者の多いチームとは、今、本当に魅力のあるチームといえるものです。
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「Jリーグ スタジアム観戦者調査2017 サマリーレポート」とは?
今回の分析で利用するデータは、Jリーグが公開している「Jリーグ スタジアム観戦者調査2017 サマリーレポート」です。
「Jリーグ スタジアム観戦者調査2017 サマリーレポート」の調査概要としては以下となります。
【調査期間】2017年4月29日~9月23日
【調査対象】スタジアム観戦者、11歳以上の男女個人:17,638名
【調査方法】スタジアム内における集合配布法を用いた質問紙調査法
【回収状況】有効回収数:17,136票
調査の対象とした試合は、各チームのリーグ戦におけるホーム主催試合の中の1試合です。その1試合の観戦者の中から400~500人に質問票を記入してもらった結果となります。
サンプル数は決して多くないため、対象となる試合、対象となる回答者により、調査結果の誤差が大きくなる可能性もありますが、例えば「Jクラブは、ホームタウンで大きな貢献をしているか?」等の定性的な質問も多くあり、クラブ経営において非常に参考になるデータとなっています。
スタジアムの新規観戦者の割合が高いチームは?
2017シーズンから新規に観戦を始めた新規観戦者の割合が高いチームを見ていきます。
「Jリーグ スタジアム観戦者調査2017 サマリーレポート」において、観戦歴として、2017シーズンから観戦を始めたと回答した割合が表1となります。
2017シーズンにおいて、新規観戦者の割合がもっとも高かったチームはセレッソ大阪です。全ての観戦者の中での新規観戦者の割合は7.7%です。
7.7%は大きな増加ですので、クラブとして実施した新規ファン獲得の様々な施策が成果として現れた結果といえます。
特に、2017シーズンはJ2からJ1に昇格した1年目であり、そのことをアピール出来たこと、そして、スペインのセビージャーFCから清武選手を獲得したことが新規観戦者の獲得に繋がったと考えられます。
清武選手は海外リーグでの実績もあり、さらにセレッソ大阪のチームの象徴である背番号8を背負っていた人気・実力を兼ね備えた選手ですので、新規観戦者の獲得に大きく貢献したと考えられます。
続いて2位から5位の上位陣ですが、2位が鹿島アントラーズで5.4%、3位が横浜F・マリノスで5.2%、4位がサガン鳥栖で5.0%、5位がヴィッセル神戸で4.7%となります。
スタジアムの新規観戦者の割合が昨シーズンから増えたチームは?
続いて、2017シーズンの新規観戦者の割合を、2016シーズンの新規観戦者の割合と比較することで、その増減を見ていきます。
2016シーズンの新規観戦者の割合、2017シーズンの新規観戦者の割合、その増減をまとめたのが表2となります。表2は前年比増加割合の高い順です。
1位はセレッソ大阪で前年比4.1%の増加となります。2017シーズンの新規観戦者の増加率の1位であるセレッソ大阪ですが、前年比増減%でも1位となっています。
続いて、2位は清水エスパルスで前年比2.7%の増加です。セレッソ大阪と同様にJ2からJ1への昇格を新規観戦者の獲得に繋げることができたと考えられます。
2017シーズンの新規観戦者の増加率の2位の鹿島アントラーズと3位の横浜F・マリノスですが、前年比増減%でも、鹿島アントラーズが3位、横浜F・マリノスが4位と上位に位置していますので、この2チームは確実に新規観戦者を増やすことが出来ているチームであることが分かります。
一方で、2017シーズンの増加率で5位であったヴィッセル神戸ですが、前年比増減%では▲0.7%と低下しています。元ドイツ代表のルーカス・ポドルスキーの加入で話題を集めたヴィッセル神戸ですが、効果的に新規観戦者の獲得に繋げることが出来なかったことが浮き彫りになっています。
スタジアムの新規観戦者数が多いチームは?
続いて、2017シーズンから新規に観戦を始めた新規観戦者数が多いチームを見ていきます。
新規観戦者数ですが、「Jリーグ スタジアム観戦者調査2017 サマリーレポート」において、観戦歴として、2017シーズンから観戦を始めたと回答した割合に2017シーズンのリーグ戦の入場者数を乗じて算出しています。
新規観戦者数ランキングは表3となります。
1位は新規観戦者の割合でも1位であったセレッソ大阪で新規観戦者数は27,450人となります。
2位は横浜F・マリノスで21,893人、3位はFC東京で18,914人の新規観戦者数となります。
2位の横浜F・マリノスは、リーグ戦の入場者数を多く獲得しながら、新規観戦者の割合、新規観戦者数ともに上位に位置していますので、既存のサポーターへの集客だけでなく、未来のサポーターへの集客も成功しているクラブといえます。
スタジアムの新規観戦者数が昨シーズンから増えたチームは?
最後に、2017シーズンの新規観戦者数を、2016シーズンの新規観戦者数と比較することで、その増減を見ていきます。
2016シーズンの新規観戦者数、2017シーズンの新規観戦者数、その増減をまとめたのが表4となります。表4は前年比増加数の多い順です。
全体を見ると、新規観戦者数が増加したのが9チーム、減少したのが9チームとなっており、増加組と減少組に綺麗に2つに分かれています。
増加組には、2017シーズンにJ1に昇格したセレッソ大阪、清水エスパルス、コンサドーレ札幌が上位にいることが一つの特徴です。特に、セレッソ大阪と清水エスパルスが1位と2位ですので、J1昇格のインパクトの大きさがうかがえます。
一方で、減少組に目を向けると、17位がガンバ大阪、最下位がサンフレッチェ広島となっています。この2チームの新規観戦者数が減少した大きな要因は、優勝を狙えるチームでありながら、2017シーズンは成績が振るわなかったことだと思います。一方で、リーグ戦の成績に関係なく新規観戦者を獲得することが出来なかったとも言えます。
FC東京のように、リーグ戦の成績に関係なく新規観戦者を獲得しているクラブもありますので、ガンバ大阪とサンフレッチェ広島の両クラブは新規観戦者の獲得のための施策を見直すことが必要となります。
まとめ
・2017シーズンに新規ファンを多く獲得したチームはセレッソ大阪。新規観戦者の割合、新規観戦者数ともに1位。
・リーグ戦の入場者数を多く獲得しながら、新規観戦者の割合、新規観戦者数ともに上位に位置している横浜F・マリノスは、既存のサポーターへの集客だけでなく、未来のサポーターへの集客も成功しているクラブ。