Jリーグと世界のビッククラブとの放映権料収入の差はどのくらいあると思いますか?
今回はJリーグのクラブの放映権料収入と世界のビッククラブの放映権料収入を比較することで、Jリーグのクラブと世界との放映権料収入の差を見ていきます。
Jリーグのクラブの放映権料収入TOP5
最初にJリーグのクラブの放映権料収入TOP5を見ていきます。欧州のビッククラブと比較するJリーグのクラブです。
Jリーグの放映権は公益社団法人日本プロサッカーリーグが一括して管理・販売し、それによって得られた放映権料を各クラブにJリーグ配分金として分配していますので、このJリーグ配分金をJリーグのクラブの放映権料収入として見ていきます。
尚、厳密には、Jリーグ配分金の原資には放映権料の他にもJリーグオフィシャルパートナーのスポンサー料等も含まれますので、Jリーグ配分金は実際の放映権料より多くなりますが、Jリーグ配分金の原資の詳細は公表されていないため、放映権料の近似値としてJリーグ配分金を使用して分析を進めていきます。
Jリーグのクラブの中でJリーグ配分金として多くの放映権料収入を得たTOP5は表1となります。
1位は浦和レッズで放映権料収入は3億1900万円です。この金額がJリーグのクラブの放映権料収入の最大値となります。
放映権料収入が3億円に届いているチームは浦和レッズだけで、2位から5位のチームは2億円台となります。
Jリーグ配分金(≒放映権料収入)の各クラブへの配分方法の詳細は公表されていないですが、約80%は均等に分配し残りは様々な実績等を考慮して上乗せしていると言われています。
約80%は均等に分配しているため、J1に所属しているチーム間においてJリーグ配分金(≒放映権料収入)に大きな差がつかないことが特徴です。
Jリーグで放映権料収入が多いクラブとは、放映権料収入が3億円~2億円の範囲のクラブといえます。
これが現在のJリーグのクラブの放映権料収入の規模となります。
世界のサッカークラブの放映権料収入TOP5
続いて、世界のサッカークラブの放映権料収入TOP5を見ていきます。
世界のサッカークラブの放映権料収入ランキングのTOP5は表2となります。
世界のサッカークラブの放映権料収入ランキングのTOP5ですが、スペインから2チーム、イングランドから2チーム、イタリアから1チームがランクインしています。
1位はレアル・マドリードの291億4560万円となります。
世界屈指の人気、実力を誇るスペインの白い巨人は放映権料収入で堂々の1位を獲得しています。
続いて、2位はマンチェスター・シティで276億2240万円です。
世界的なサッカー事業グループであるシティ・フットボール・グループ (City Football Group)の傘下であるマンチェスター・シティは、世界中にファンを増やしており、放映権料収入で2位となっています。
3位はFCバルセロナで259億4560万円です。
スペクタクルで美しいサッカーを標榜し、そのサッカーで世界の人々を魅了するカタルーニャの雄は放映権料収入で3位となっています。
4位はユベントスで250億4960万円です。
かつての栄光を失いつつあるイタリアのセリアAにおいて、唯一ヨーロッパの頂点を狙えるクラブであるユベントスは放映権料収入で4位となっています。
5位はアーセナルで245億7600万円です。
2003-04シーズンを最後にプレミアリーグの優勝から遠ざかっているアーセナルですが、放映権料収入では5位と上位につけています。
Jリーグと世界との放映権料収入の差は?
Jリーグのクラブと世界のサッカークラブとの放映権料収入の差を見ていきます。世界との差を具体的な数値で知ることが出来るデータとなります。
Jリーグのクラブの放映権料収入TOP5と世界のサッカークラブの放映権料収入TOP5との収入の差は以下の計算式で算出しています。
・放映権料収入の差(倍率)= 世界TOP5クラブの放映権料収入 ÷ Jクラブの放映権料収入
Jリーグのクラブの放映権料収入TOP5と世界のサッカークラブの放映権料収入TOP5との収入の差は表3となります。
Jリーグのクラブの放映権料収入1位の浦和レッズと世界の放映権料収入1位のレアル・マドリードを比較すると、レアル・マドリードの放映権料収入は浦和レッズの放映権料収入の約91.37倍になります。
JリーグのTOP5のクラブと世界のTOP5のクラブを比較すると、Jリーグのクラブは世界のビッククラブに放映権料収入では77倍~125倍もの差をつけられていることが分かります。
桁違いの差をつけられていますが、その桁も一桁ではなく、二桁違うという圧倒的な差です。世界のビッククラブの放映権料収入はJリーグとは次元が違うことをまざまざと見せつけられる結果となっています。
Jリーグが世界に追いつくために
現在のサッカー界において、一つの国・地域で行うリーグ戦としては世界で最も高い人気を誇るのはイングランドのプレミアリーグです。同リーグの発表によると、リーグ戦の年間テレビ視聴者数は世界212の国と地域で40億人を超えているとのことです。
一方でJリーグは、アジア圏での放送拡大を進めており、アジアを中心に世界36の国と地域にて放送しています。
プレミアリーグのような世界のトップリーグの放映権料収入に近づくためには、Jリーグを日本国内だけでなく、全世界で視聴されるコンテンツへと成長させる必要があります。その成長のためにも、アジア圏での放送拡大というJリーグの方向性は間違っていません。
但し、Jリーグの場合には、まずは日本国内でのテレビの視聴者数を増やすことが先決です。そのためには、Jリーグの各クラブが地域のサポーターを着実に増やすことが必要です。
Jリーグの各クラブが地域のサポーターを着実に増やしていき、ホームスタジアムが常に満員の状態になれば、アジア圏の人々にとってもJリーグは魅力的なリーグとして映るはずです。そして、そのようなリーグであれば、放映権料収入も必然的に増加していくはずです。
まとめ
・世界1位のレアル・マドリードは日本1位の浦和レッズの約91.37倍の放映権料収入をあげている。
・放映権料収入で世界に追いつくために、Jリーグを日本国内だけでなく、全世界で視聴されるコンテンツへと成長させる必要がある。
・Jリーグの場合には、まずは日本国内でのテレビの視聴者数を増やすことが先決。そのためには、Jリーグの各クラブが地域のサポーターを着実に増やすことが必要。
※今回の分析では、Jリーグ公式HPの「Jクラブ個別経営情報開示資料」及び「Deloitte Football Money League 2017」を使用。