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Jリーグにビッククラブが生まれない理由とは?経営指標の売上高人件費率が示す本当の要因

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Jリーグではビッククラブと呼ばれるチームは存在しないと言われています。今回はJリーグにビッククラブが生まれない理由を経営指標の1つである売上高人件費率から分析します。

 

売上高人件費率とは?

今回の分析で使用する売上高人件費率とは以下の計算式で導きだす指標です。

売上高人件費率=人件費÷売上高

売上高人件費率とは、売上高に対して人件費がどれだけかかったかを示す指標となります。この比率が大きいほど人件費の負担が大きく、反対にこの比率が小さいほど、人件費の負担が小さいことを示します。

一般的に、飲食店や宿泊業のような労働集約型の業種の方が大規模な設備投資を要する重化学工業や装置型産業のような資本集約型の業種より売上高人件費率は高くなる傾向があります。

 

Jリーグのクラブの場合の売上高人件費率とは?

最初に、売上高人件費率の算出で使用する「営業収益」「チーム人件費」の説明をします。「営業収益」と「チーム人件費」はJリーグの各クラブのクラブ決算の項目の1つです。

「営業収益」とは、Jクラブの収入の合計です。広告料収入、入場料収入、Jリーグ分配金、アカデミー関連収入、物販収入、その他収入の合計の金額です。一般の会社における「売上高」の項目に該当するものが、Jクラブの場合にはこの「営業収益」となります。

「チーム人件費」とは、その名の通りチームに所属する人員に支払った金額です。Jクラブにおけるチーム人件費には、選手だけでなく監督とコーチに支払った金額も含まれます。

Jクラブの場合の売上高人件費率ですが、Jクラブの場合の売上高に該当するのは収入の合計である「営業収益」となります。また、人件費に該当するのは「チーム人件費」となります。

したがって、Jクラブの場合の売上高人件費率は以下の計算式で算出します。

売上高人件費率=チーム人件費÷営業収益

この指標により、各Jクラブにおいて、収入合計に対してどれだけの割合を選手、監督、コーチに支出しているかが分かります。

 

Jクラブの売上高人件費率ランキングの結果は?

2016年度のクラブ決算の「営業収益」と「チーム人件費」から、売上高人件費率を算出し、売上高人件費率が高い順にランキングした結果が表1です。

表1を見ると、売上高人件費率はチームによってバラツキがあることが分かります。

特徴的なのは、15位~18位の下位4チームが鹿島アントラーズ、浦和レッズ、ガンバ大阪、川崎フロンターレであることです。この4チームは2016年度のJリーグ年間順位の1位~4位のチームですので、Jリーグの年間順位のトップを争ったチームが売上高人件費率では下位を争っていることが分かります。

 

Jリーグにビッククラブが生まれない理由

Jリーグの年間順位のトップを争ったチームが売上高人件費率では下位を争っていることが示すことは、収入が多いクラブは、収入に応じた人件費を支出していないということです。

もちろん収入が多いクラブは収入が少ないクラブよりもチーム人件費の金額は大きいですが、収入に対する支出の割合としては低いということです。

つまり収入が多いチームは、本来であればもっと良い選手を獲得できるだけの資金の余裕があるにも関わらず、それをしていないということです。

海外のビッククラブは収入が増加すれば、より優れた選手を獲得します。そのことがチームの勝利やチームの人気・ブランド力の向上に繋がり、さらに収入が増加するというサイクルとなっています。海外のビッククラブがここまで大きくなったのは、まさにこのサイクルをリスクを背負って徹底的に繰り返してきたからです。
一方で、Jクラブの収入が多いクラブはそれをしていませんので、ビッククラブが生まれないのは必然の結果と言えます。

経営の視点で考えると、売上高人件費率を低くしているにも関わらず、Jリーグの年間順位で上位に位置しているということは、Jクラブのような労働集約型の業種では経営が成功していると言えます。但し、これはJリーグという日本国内に限った場合の結果です。例えば鹿島アントラーズがACLで勝てないのは、チームの選手層の薄さが要因であり、それは経営としてチーム人件費にお金をかけていないことの当然の結果です。

経営としてのリスクを伴いますが、獲得した収入を積極的にチーム人件費に支出するJクラブが出現すると、まさのそのJクラブはビッククラブへの一歩を踏み出します。Jリーグの飛躍のためにも、そのようなJクラブが現れることを期待しています。

余談ですが、売上高人件費率ランキングの1位の柏レイソルと2位のヴィッセル神戸はJクラブでは珍しく親会社があるチームです。親会社の売上規模から見ればJクラブのチーム人件費は微々たるものですので、これだけ積極的にお金をかけられるのでしょう。

※Jクラブの親会社についてはこちらの記事に記載しています
Jリーグのクラブに親会社は存在しない!?プロ野球の感覚は世界の非常識

まとめ
・Jリーグにビッククラブが生まれない理由は、収入が多いチームが、本来であればもっと良い選手を獲得できるだけの資金の余裕があるにも関わらず、それをしていないため。
・獲得した収入を積極的にチーム人件費に支出するJクラブはビッククラブへの一歩を踏みだす。

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