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戦略的なチーム人件費の使い方とは?Jリーグで年棒の高いチームに対抗する戦略

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今回は2016年度のクラブ決算から「チーム人件費」に注目します。

チーム人件費というと選手の年棒総額を思い浮かべる人も多いと思いますが、このチーム人件費とは選手だけでなく、監督、コーチの報酬も含まれます。まさに最前線で戦っているチーム全体の人件費となります。

 

チーム人件費が高いチームは?

2016年度のチーム人件費ランキングは以下の表1になります。

第1位は浦和レッズの23億8100万円2位がヴィッセル神戸の20億6800万円3位はFC東京の20億2500万円となります。20億円を超えているチームはこの3チームだけです。その中でも浦和レッズが頭一つ抜けている状況です。

但し、1位の浦和レッズが頭一つ抜けているといっても、2位のヴィッセル神戸との差は3億1300万円です。2017年7月にヴィッセル神戸に入団したポドルスキーの年棒は6億円と言われていますので、1人のビックネームの獲得で簡単に逆転してしまう金額の差です。

2位以下のランキングを見ると、わずか1億6800万円の金額の差の範囲に2位のヴィッセル神戸(20億6800万円)から7位のガンバ大阪(19億0000万円)までの6チームでひしめき合っています。

チーム人件費が同じレベルのチームでも、勝ち取るものに残酷な格差が生じるのがプロサッカーの世界です。

6位の鹿島アントラーズ(19億2900万円)はJリーグの年間王者となり、さらには、クラブワールドカップで準優勝を成し遂げた一方で、4位の名古屋グランパス(19億8400万円)は、優勝を狙えるほどの戦力を抱えていたにも関わらずJ2に降格したことが、その残酷な格差の現実を物語っています。

このことは、サッカークラブの経営が難しいと言われる所以でもあります。

 

1人あたりの人件費は?

次にチーム人件費をもとに各チームの1人あたりの人件費の視点で見ていきます。

選手が30名、監督・コーチが5名の計35名のチーム編成と仮定して、各チームの1人あたりの人件費を計算したのが以下の表2の“1人あたり人件費(35人)”です。

1人あたりの人件費で考えると、各チームの人件費が拮抗していることが良く分かります。

表1のチーム人件費において、2位のヴィッセル神戸から7位のガンバ大阪までの金額の差はわずか1億6800万円と記載しましたが、表2の1人あたりの人件費で考えると、2位のヴィッセル神戸から7位のガンバ大阪までの金額の差はわずか500万円ですので、わずかな差であることがより明瞭になります。

 

戦略的なチーム人件費の使い方

最後に経営の視点で、チーム人件費を所与の資源と捉えて、この資源をいかに有効活用するのかを考えます。チーム人件費を戦略的に使っていくという考え方です。

先程は、選手が30名、監督・コーチが5名の計35名のチーム編成と仮定しましたが、これは現状のJ1チームの最低限のチーム編成に近いものです。

実際には、各チームの選手数の差は大きく、例えば、チーム人件費1位の浦和レッズの選手数は33名であるのに対し、チーム人件費2位のヴィッセル神戸の選手数は38名ですので5名の差があります。

さらに、チーム人件費8位の鹿島アントラーズの選手数は28名ですので、浦和レッズの選手数との差は5名、ヴィッセル神戸との選手数との差では10名にもなります。

選手の数が少ないほど、1人あたりの人件費の金額を高く設定できますので、より優秀な選手を確保できます。したがって、何人の選手と契約するのかは、チーム人件費の有効活用の視点において、戦略的に決定するべき最重要事項です。

Jリーグの試合を行う上で必要となる選手はスタメンの11人とベンチ入りメンバー7人の計18人です。監督・コーチの5名を加えた計23名のチーム編成がJリーグの試合を行う上での必要最低限の陣容となります。

チーム編成をこの23名と仮定した場合の各チームの1人あたりの人件費を表2に追加したのが以下の表3です。チーム編成が35名の場合と23名の場合の1人あたりの人件費を比較することができます。

表3を見ると、チーム編成を23名とした場合には、10位のサンフレッチェ広島でも1人あたりの人件費で1位の浦和レッズ(チーム編成35名の場合)に追いつけることが分かります。

チーム人件費を少ない選手に集中する戦略を採用すれば、チーム人件費が中位のチームもリーグ戦で優勝を狙える戦力を揃えられることが分かります。もちろん、選手の疲労、怪我等によるシーズン中の戦力ダウンのリスクはありますが、そのリスクマネジメントも含めて、戦略として積極的に採用するチームが出てきたら、Jリーグはもっと面白くなると思います。

最後に余談ですが、2016年度のチーム人件費のJ1総合計は283億3450万円です。

FCバルセロナからパリサンジェルマンに移籍したネイマールの移籍金は2億2200万ユーロ(約290億円)と言われていますので、ネイマールの移籍金はJ1のチーム人件費総合計を上回る金額となっています。

この件については、J1のチーム人件費総合計が低いというよりは、ネイマールの移籍金が常軌を逸した金額であると考えるべきだと思いますが・・・

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