スタジアムから

CWC決勝 レアル・マドリードvs鹿島アントラーズ。レアルの本気度は?

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クラブワールカップ決勝のレアル・マドリードVS鹿島アントラーズの試合をスタジアムで観戦しましたので、そのレポートです。




クラブレベルのサッカーでは欧州のチームが豊富な資金力をもとに世界中の一流選手を集めていますし、その中を勝ち上がったチームがレアル・マドリードですので、レアル・マドリードは既に今シーズンの世界一のクラブであることは、サッカーファンなら周知の事実です。

そんなレアル・マドリードに対して、南米代表を筆頭に他の地域のチームがどこまで善戦できるのかがこの大会の一つの見所です。

日本のサッカーファンにしたら、レアル・マドリードが優勝するのは当たり前として、日本の地でスター軍団であるレアル・マドリードがどんな素晴らしい試合を見せてくれるのかを期待している人も多かったと思います。

決勝はヨーロッパ代表VS南米代表で、最後はヨーロッパ代表が華麗なプレーを披露して優勝する。

そんな予定調和な結末を期待しているところで、思いがけない嬉しい波乱が起きました。

その波乱を起こしたのが、鹿島アントラーズです。準決勝で南米王者のアトレティコ・ナシオナルを3対0で下して決勝に勝ち上がってきました。南米王者相手の完勝です。否が応でも期待が高まります。

日本で開催したクラブワールドカップの決勝を毎回スタジアムで観戦していますが、日本の観客が期待しているのは、ヨーロッパのビッククラブのスタープレイヤーたちによるスーパープレーです。

サッカーの試合を観戦しにくるのではなく、サッカーのSHOWを見にくるという感覚です。

そして、そのSHOWはスペクタクルであればあるほど観客の満足度は高くなります。

けれど今回の決勝に関しては、サッカーの試合を観戦しにきた人が多かったように思います。

それは、日本のJリーグのクラブが世界のレアル・マドリード相手に公式の大会の決勝の舞台で戦う。

日本のサッカーファンの誰もが予想できなかった最高のシチュエーションです。

そして、もし勝利すれば、それは日本サッカー界にとっての最大のジャイアントキリングといえるものです。

南米王者に完勝したこともあり、そんな期待を会場に集まった人たちが抱いていたように感じました。

過去の日本で開催したクラブワールドカップの決勝では、日本人の観客はヨーロッパ代表のチームのユニフォームを着て応援する人が圧倒的に多かったのですが、今回はレアルのユニフォームを着ている人が少なかったことも、それを物語っていたと思います。




試合内容ですが、前半早々にレアル・マドリードが先制して、会場の期待は早々に打ち砕かれました。誰もがレアル・マドリードの圧勝を思い描いたはずです。その空気を変えたのは、前半終了間際の鹿島アントラーズの柴崎の同点弾です。

そして、後半の52分に誰もが予想しない展開になりました。

鹿島アントラーズの柴崎の逆転のゴールです!!!

まさに会心の一撃です。もちろん会場の興奮は最高潮です。

私も無意識に立ち上がって咆えました。2016年はEUROも観戦していますが、それを超える興奮でした。

最終的な結果は、延長の末に4対2でレアル・マドリードの勝利です。結果だけを見れば、順当な結果です。ただ、あのレアル・マドリードをギリギリまで追い詰めたJリーグ王者は間違いなく称賛に値したと思います。

後日談ですが、メインスポンサーのLIXILへの鹿島アントラーズの報告会に居合わせたのですが、LIXILの社長は世界中にLIXILの名前が配信されたので、各国の企業からの反響がすごかったと言ってました。

そして、「あの審判でなければ優勝してたよ」とも言われたみたいです。

最後にレアル・マドリードの本気度についてです。

レアル・マドリードが苦戦したり、負けたりすると本気を出していないという意見が出てきますが、私はレアル・マドリードは最初から本気だったと思います。

普段リーガエスパニョーラでレアル・マドリードの試合を見ていますが、あんなものですよ。

相手チームが激しいプレッシャーを掛けることに成功すれば、レアル・マドリードといえども試合を優勢に進めることは難しいです。鹿島アントラーズは相当激しいプレッシャーを掛けていたので、順当な試合内容です。

それに練習でも負けることが嫌いな、負けず嫌いの集団がプロであり、その頂点がレアル・マドリードです。公式の大会の決勝の舞台で本気を出さないわけがないです。

一方で、リーガエスパニューラやチャンピオンズリーグを見ている限り、レアル・マドリードは以下の2つ状況でモードが異なるとも考えています。本気かどうかではなく、モードが異なるという見方です。

①リーグ戦のように負けても後がある試合の状況

②トーナメント戦のように負けたら後がない試合の状況

選手が意識的にモードを変えているというよりは、そのシチュエーションが選手のモードを自動的に変えているというのが正しい表現だと思います。

今回のクラブワールカップの決勝は本来ならば②のモードのはずなのですが、逆転されるまでは、①のモードに近かったと思います。

クラブワールカップの決勝の舞台はレアル・マドリードの選手たちにとって、②のモードになるほどの試合ではなかったというのは、クラブワールカップの位置付けを表しているものだと思います。

個人的には、①のモードのままで良かったので、日本のクラブがレアル・マドリードにクラブワールカップの決勝で勝ったという事実を残して欲しかったというのが本音です。

最後に補足ですが、バルセロナとのリーグ戦でのクラシコは本来は①のモードのはずですが、実際には完全に②のモードです。

 

 

 




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