Jリーグについて

プロ野球との比較で理解するJリーグの移籍制度の仕組み。両者の移籍制度の本質的な違いとは?

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Jリーグもオフシーズンとなり選手の移籍が活発化しています。今回はJリーグの移籍制度について、日本のプロ野球の移籍制度と比較することでその特徴を見ていきます。




 

プロ野球の移籍制度の特徴は?

最初に日本のプロ野球の移籍制度について見ていきます。

日本のプロ野球の移籍制度の一番の特徴は、選手の移籍を禁止する制度があるという点です。

この制度は保留制度といいます。この保留制度により、プロ野球の球団が保留権を有する選手は、国内外を問わず、他のプロ野球の球団に移籍するための契約交渉、練習参加等を行うことができなくなっています。

このことは、日本野球機構が日本プロ野球の選手契約等の手続きを定めた協約である「日本プロフェッショナル野球協約」の第49条(契約更新)に定められています。条文としては以下の内容となります。

「日本プロフェッショナル野球協約」
第49条 (契約更新)
球団はこの協約の保留条項にもとづいて契約を保留された選手と、その保留期間中に、次年度の選手契約を締結する交渉権をもつ。

この保留制度の例外がFA制度です。一軍での出場選手登録の日数が所定の日数に達した選手にFA権が付与され、その選手は移籍するための契約交渉を行うことができるという制度です。

FA権の取得に必要な所定の日数は、いくつかの要件により異なり、国内移籍の場合には7年~8年、海外移籍の場合には9年が必要となります。

尚、メジャーリーグへの移籍において、ポスティングシステムが話題になりますが、このポスティングシステムはFA権とは別ものです。

ポスティングシステムは、海外FA権を取得していない選手の海外移籍を可能とする制度であり、FA権が選手の権利であるのに対して、ポスティングシステムは球団の権利であるという点が異なります。

ポスティングシステムは選手の権利ではないので、選手がポスティングシステムによる海外移籍をいくら希望したとしても、球団がOKしなければ移籍することができない仕組みとなっています。




Jリーグの移籍制度の特徴は?

次にJリーグの移籍制度の特徴を見ていきます。

Jリーグの移籍制度の一番の特徴は、契約期間が満了した選手は自由に移籍できるという点です。

プロ野球が保留制度により選手の移籍を禁じていることと比較すると、正反対の移籍制度といえます。

また、契約期間の満了前であっても、移籍先クラブと移籍元クラブとが移籍にともなう補償(移籍補償金)について合意して、かつ、当該選手も移籍を承諾した場合にも移籍が可能となります。

このことは、日本サッカー協会の基本規程の補完規則である「プロサッカー選手の契約、登録および移籍に関する規則」に定められています。条文としては以下の内容となります。

「プロサッカー選手の契約、登録および移籍に関する規則」
3.国内移籍
④ プロ選手がプロ選手として移籍する場合

(1)プロ選手との間でプロ選手としての契約を締結しようと意図しているクラブは、当該プロ選手との交渉に入る前に書面により当該プロ選手がその時点で在籍するクラブに通知しなければならない(「他クラブ在籍プロ選手との契約交渉開始に関する通知」(書式I)により通知。写しを所属リーグに提出)。当該プロ選手は、当該プロ選手のその時点のクラブとの契約が期間満了したか、又は期間満了前6ヶ月間に限り、他のクラブと契約を締結することができるものとする。かかる規定に違反したクラブ又は選手に対しては、1-8①に従い懲罰が科される。ただし、7(「トレーニングコンペンセーション」)の定めに従い、移籍元クラブは、移籍先クラブに対して、「トレーニングコンペンセーション」を請求することができる。

(2)契約期間が満了した選手及び移籍リストに登録された選手の移籍に関しては、選手とクラブは、前項に定める通知を行うことなしに自由に交渉し、新たな契約を締結することができる。

(3)プロ選手契約の期間満了前であっても、移籍先クラブと移籍元クラブとが移籍にともなう補償(移籍補償金)につき合意し、かつ、当該選手も移籍を承諾した場合は、移籍を行うことができる。

条文は国内移籍の場合の規定ですが、海外への国際移籍の場合にも同様となります。

 

プロ野球との比較で理解するJリーグの移籍制度

プロ野球の移籍制度を参考にJリーグの移籍制度の特徴を見てきましたが、プロ野球が契約期間が満了した選手の移籍を禁止しているのに対して、Jリーグは契約期間が満了した選手は自由に移籍できることが大きな違いです。

そして、この大きな違いの本質は、プロ野球の移籍制度が経営者に有利なルールであるのに対して、Jリーグの移籍制度は選手に有利なルールである点です。

Jリーグのクラブ経営の中で選手の移籍を考える時には、この本質的な部分を正確に理解する必要があります。

つまり、Jリーグの移籍制度が選手に有利なルールである以上、選手の採用と育成、報酬の在り方は、クラブ経営において非常に難易度が高い経営マターになるということです。

特に、契約期間が満了すると所属選手は自由に移籍できてしまうので、選手との交渉時における契約期間の設定は重要な経営判断と言えるものです。

プロ野球の場合は契約期間が満了しても所属選手は自由に移籍できないため、契約期間の設定が重要な要素とならないことを考えると、Jリーグのクラブ経営における選手との契約がいかに難しいかが分かります。

 

まとめ

・日本のプロ野球の移籍制度の一番の特徴は、選手の移籍を禁止する制度があるという点
・Jリーグの移籍制度の一番の特徴は、契約期間が満了した選手は自由に移籍できるという点
・Jリーグの移籍制度において、選手の採用と育成、報酬の在り方は、非常に難易度が高い経営マター




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